売り言葉にラブを

コピーライターなんですが、言葉と女心について語りつつ、本やマンガやアニメのことも

女の人がきれいになりたいと思う気持ちはまっすぐ。

日経新聞に、広告が差別やジェンダー

配慮しないことでSNSで炎上するのは、

男性ばかりで企画・制作され

承認する責任者も中高年の男性ばかりという

偏った環境にも問題があるのでは、

という内容の記事が掲載されていた。

私は化粧品とか、女性向けの商品の仕事が

多く、スタッフに必ず女性が何人もいて

というか女性だけの場合もあり、

あまりそんな感じもしないのだが、

昔は男っぽい現場もときどきあった。

 かなり前に経験したことだが、

とある化粧品会社の仕事で、そこの社長が

もっとおもしろくて

インパクトのあるCMを作れ!と命令し、

仕事を請け負った代理店さんは、

あえて化粧品経験のない

おもしろ系が得意な精鋭CMプランナーを

集めた。そこでまあ、コピーライターは

化粧品に慣れてる人にしておこうかなあ

というので私は呼ばれたようだ。

企画会議に出てくる案は、それは斬新だった。

CAさんが乾燥する飛行機の中で

化粧水をかけあうとか

今までの化粧品にはない案ばかり。

おもしろいことを考えるなあと

私は感心していたのだが、

代理店のマーケティングの女性が

みんながきれいになりたくて

使っている化粧品を

こんな冗談にするのは許せない!

私はこんなCMの企画書は書けません。

と激怒して仕事を降りてしまった。

確かに、その後紆余曲折を経て

CMは出来上がったが、

あまりいい結果は残せなかった。

そう!女性がきれいになりたいと思う気持ちを

冗談にすることは許されないのだ。

いまだに覚えているが、私がまだ20代の頃、

「ヘタなカツラをつけるなら

ハゲのままでいい。」

という男性用ウィッグのコピーがあり

度肝を抜かれたが、

この素晴らしいインパクトは男の世界。

女性の美しさへの願いは、

もっと夢と希望と妄想に包まれていなければ

いけない。と私は思う。

いくつになっても、どんな環境にいても、

女の人がきれいになりたい

と思う気持ちはまっすぐで、けなげで、

恥ずかしいほどキラキラしているのだ。

冗談にしていいのは本人だけ。