売り言葉にラブを

コピーライターなんですが、言葉と女心について語りつつ、本やマンガやアニメのことも

「持ったが病」に気をつけろ

物欲というものは果てしない。

春らしいシャツを1枚買って、その日は

満足してすごくうれしいのだが、

次の日ムラムラと、このシャツに合う

スカートが欲しくなり、靴が欲しくなり、

バッグが欲しくなり、

アクセサリーも新色の口紅も欲しくなる。

しまいには髪も切りに行きたくなる。

キリがない。

まあ、いまはお金がなく、

保険も税金も払わなきゃ、みたいな

常識的な心が働くのでガマンするが、

20代のときの私はバカなので、

ガマンしなかった。

家賃と光熱費と最低限の食費は残したが、

お給料の大半が着るものに消えた。

ボーナス払いでガンガン買い物するので、

毎回ボーナスはゼロ。貯金もゼロ。

過去に戻って、説教してやりたいよ。

私が魂の師匠と敬う、幸田文さんは

おしゃれや着物の話をたくさん書いている。

その中で、「持ったが病」という昔の言葉が

出てくるのだが、これは、

持っているものをありったけ身につけて、

ひけらかす人のことを言うらしい。

「なぜああごたごた飾りたがるか、

しょうがない持ったが病だねえ」と

いうふうに使うとある。

20代の私は、別にひけらかしている

つもりはなかったが、

ある意味「持ったが病」を患っていた

ような気がする。

いまは、お金がないので

自然とミニマムになっている。

ひけらかすほどのものもないので

ちょうどいいかも。

ああ〜、でも靴は欲しい。