花の捨てどき
そういえば、誰かから
ちゃんと花をもらったことがない。
いや、別に悲しくないですよ。
花も意外と高いので、
どうせ消えものなら、同じ値段の
ワインの方がうれしいに決まっている。
そんな性格を、まわりの人たちも
わかっているのだと思う。
もちろん、花が嫌いなわけではない。
こんな私でも撮影で余った花をもらったり、
買って飾ったことも何回かある。
ただ、切り花についていつも困るのは、
当たり前だが枯れるということだ。
飾ったばかりの新鮮な花は、もちろん
とても美しく、部屋の中が生き返る。
でも、花は生き物。どんなに水を変えても、
日毎にしおれていく。
しおれ率50%くらいのあたりから、
もうどうしていいかわからない。
飾っていて、うれしいのは
最初の3日間ほどで、後は、枯れてゆく
姿を見守るばかり。美しかっただけに、
だんだん惨めったらしい様子に
なってゆくのを見るのは忍びなく、
部屋の雰囲気も悪くなる。
きれいなうちに捨ててもいいのだろうが、
せっかく咲いているのに
かわいそうでそれはできない。
で、枯れきったところで捨てるのだが、
萎れた花の茎をボキボキ折って、
生ゴミと一緒のゴミ箱に捨てる
ときの切なさよ。私には、
どうも花の捨てどきがわからない。