売り言葉にラブを

コピーライターなんですが、言葉と女心について語りつつ、本やマンガやアニメのことも

ああ、時は金なり

仕事をするのがイヤで、なんとなーく近くにあった「東京タラレバ娘」をパラパラしていたらこんな言葉が。

「人生一生 酒一升 あるかと思えば もう空か」。うわ〜、ダラダラしている私にきつい一言。神様からのお告げか。

昔の人は、いまの私くらいの歳で、多くの人が死んでたんだよなあ。なんとかせねば。本当に、この歳になると空は目の前。人が使える時間は有限なのだ。

子どもが小学生のときのこと。通っていたサッカースクールのコーチが、よそのユースチームのコーチになるということで、練習の最終日に子どもたちにお別れの挨拶をした。みんながんばれ、みたいな普通のことを述べていたのだが最後に「コーチからみんなにこの言葉を贈ります。時は金なり」と言って締めた。小学生男子たちはみんなキョトンとしており、私も若いのに渋い言葉で締めたねと思ったのだが、事情を知ると金言に変わった。

コーチは浦和のユースに所属していたのだが、ケガなどがあり選手はあきらめたそうだ。サッカーは選手生命が短い。思うように試合に出れず、焦る気持ちとは裏腹に、あっという間にピークが過ぎて行く自分を振り返って、しみじみと「時は金なり」と思ったんだと思う。そう思うと、普段は即物的に聞こえていたこの言葉が、目頭が熱くなるほど切実なものに感じるから不思議だ。

あれから何年も経つが、ふとした時、まあ主にダラダラと無為な時間を過ごしている時だが、ケンコーチと呼ばれ子どもたちに慕われていたあのコーチの声が聞こえてくる「時は金なり」。