売り言葉にラブを

コピーライターなんですが、言葉と女心について語りつつ、本やマンガやアニメのことも

着物警察なるものがあるらしい

テレビで見たんだが、着物警察と呼ばれる人たちがいるらしい。

街中で着物を着ている女性の着こなしをみて、「帯がゆるんでいる」「羽織の色と着物の柄が会ってない」などとその場で注意する人たちのことだ。いや、おせっかいにもほどがある。どうかしてるんじゃないだろうか。本当に存在するのか、そんな人。

私も詳しいわけじゃないが、着物には色々細かいルールがある。季節によって着る柄が決まっていたり、柄に格付けがあったり。でも、ルールなんか全然知らない若い人が、自由に着て面白がれないと、着物に未来はないだろう。

それに、昔の人でもそんなにルールに縛られた着こなしをしていたんだろうか。そんな格式ばった着物を着ていたのは、「今日は三越、明日は帝劇」みたいな一部の上流階級のマダムだけなんじゃないだろうか。当時だって、若い人は冒険した着こなしを楽しんでたんじゃないかな。

私は着物を自分で着ることもできないし、成人式の時の晴れ着以外着たことがないような人間だ。でも、もう少し歳をとって気持ちに余裕ができたら着てみたいな、という着物への憧れはある。だから、もし着物警察に捕まったらすごく落ち込むだろうし、そんなこと想像もしたくない。着物だって、昔は誰でも着ていた普段着なんだから、誰がどう着たっていいじゃないか。

私の魂の師匠、幸田文さんの書いた着物やおしゃれに関するエッセイはどれも秀逸なんだが、そこに

「伝統を鵜呑みにすれば、昨日を今日にもちこむだけだ。固定してしまった観念からは新鮮は生まれない」とある。

いい言葉だなあ。着物警察なんて、バカヤローおとといきやがれって感じだ。