売り言葉にラブを

コピーライターなんですが、言葉と女心について語りつつ、本やマンガやアニメのことも

本を読む

今週のお題「雨の日の過ごし方」

窓際で、雨の気配を感じながら本を読む。これが、いちばんかな。子どもの時から、ずっとそう。

私は運動神経がないので、体を動かすことがあまり好きじゃない。小学生のころ、遊び時間といえばゴム跳びとドッジボールが主流で、それはそれは苦痛だった。でも、子どもの狭い世界はなかなかにハードに残酷で、みんなと仲良く同じことをしないとあっという間に仲間はずれにされるのだ。

だから、雨が降らない限り、休み時間のチャイムが鳴るたび校庭に走り出て、ニコニコしながら大嫌いなゴム跳びをしなければいけなかった。

地方によって違うかもしれないが、私の子供の頃は最初が足首、次がヒザ、次が腰、次が肩の高さというようにゴムを上げていく。肩くらい高くなると普通に跳べないので、上手な子は、手でゴムをぐっと下げてくるんと回りながら跳ぶ、というような華麗な技を繰り出すのだが、私はだいたい腰でもう跳べない。で、跳べない人はゴムを持つ係になるわけだが、もう本当につまらなかった。

また、いっそうイヤなことが組分けである。個人ではなく、2組に分かれて競うこともあり、その時の分け方に「とりし」というものがあった。いちばん上手と目される子ふたりが「とり、とり、とりし」と掛け声をかけてじゃんけんをする。そして勝ったほうが自分の好きな子、というかまあ上手に跳べる子を指名して自分のチームに入れるのだ。

私は下手なので、大抵いちばん最後まで指名されずに残る。その時集まった子の人数が奇数の場合は、一人ポツンと残ってしまう。でまあ、最後のじゃんけんで勝った方に、残った私の指名権があるわけだが、「いらん」って言われるんだよなあ。

めっちゃ腹たつ。なんで、お前みたいなゴム跳びくらいしか能のない奴に、いらん子扱いされなあかんねん!と腹わたは煮え繰り返っているが、ハハハと薄ら笑いをして耐える。

何だろうなあ、小学生時代の世渡りの大変さときたら。

というような過酷な休み時間も、雨の日は思いっきり大手を振って図書室に行けるのだ。うれしかった。雨の日の図書室は、いつもより強く紙の匂いがして、校庭の土の上に落ちるちょっと鈍い雨の音が聞こえた。新しくできたばかりの公立校で、蔵書の数も少なくて、気に入った本を何度も読んだ。「飛ぶ教室」とか「ドリトル先生」とか「シートン動物記」とか。

今でも本屋で児童書を開くと、雨の匂いがするような気がする。

雨の日は、本を読んでいたい。