売り言葉にラブを

コピーライターなんですが、言葉と女心について語りつつ、本やマンガやアニメのことも

咲いた咲いたを歌いたくない

昨日は敬老の日であった。

母親は今年85歳になる。元気に一人暮らしをしているとはいえ、転んでないかとか、具合悪くなってないかとか色々と心配である。

この間、元気な年寄りばっかりが入るようなホームを探してみる?と聞いたところ、予想通り全然乗り気でなかった。

母の妹のダンナさん、つまり私のおじさんは、少しボケてきているのだが、プライドはとても高いまま。デイケアに行って老人同士で幼稚なゲームをしたり、歌を歌ったりするのが本気でいやらしい。

この間もデイケアに行きたがらず、おばさんが理由を聞いたところ、「咲いた咲いたを歌いたくない」と言ったらしい。それを聞いた私の母が、「私も、そんなもん絶対歌いたない」と主張していた。

まあねえ、気持ちはわからなくはない。私も絶対嫌だ。

そういえば、思い出すのは高校時代。

私の入学した女子高は、姉妹校の男子校が野球が強く、そこが高校野球の京都代表になると甲子園に行って応援ができるというので、まったく似合わないのにバトン部に入ってしまった。今はチアダンというのか?

しばらくは1年生らしく、ポンポンを作ったり柔軟体操をしたりして真面目に部活動をしていた。そうこうするうちに、1年生も、踊りを覚えることになったのだが、その曲が「てんとう虫のサンバ」。うひゃー!翌日、速攻、部をやめた。いやいやいや、あんなもん恥ずかしくて絶対踊れないでしょ。踊っている自分が許せないよ。

だから、「咲いた咲いた」を歌いたくない老人たちの気持ちはよくわかる。尊厳に関わる問題である。

それと母が言うには、ホームではみんな揃ってご飯を食べなければいけないが、老人は食べ方が汚くて嫌だと言う。知り合いの90代のおじいさんが、「ホームでババアたちとメシ食うんがほんまにいやや」と言っていたらしい。

まあ、私の母親も歳をとってからは食べ方がきれいとはいえないと思うし、そのおじいさんも威張れたものではないと思うのだが、人のことはさておきいやなものは仕方ない。

そんなことで、歩けるうちは一人で暮らしたいようなので、がんばってもらうしかない。とにかく転ばないように気をつけてほしい、本当に。